
薬剤師になろうと思うけど、一生安泰なの?



薬剤師をとりまく環境は変わってきています。
今から薬剤師になるには、一生安泰とは言えない状況になってきました。
薬剤師はずっと超ウルトラスーパー売り手市場が続いていました。
しかし、薬剤師は将来過剰になると厚生労働省が発表しています。
平成25年は薬剤師の有効求人倍率は10倍でした。
数年前までは都市部でも、60才前の未経験の薬剤師でも就職先がありました。
60才前の調剤未経験薬剤師ってどんな人かというと、薬剤師の免許をもっていた元MRです。
しかし、今都市部で60才近くの調剤未経験の薬剤師が転職先を探そうとしても大変です。
令和2年の薬剤師の有効求人倍率は2倍でした。
平成25年は1人の薬剤師が就職先を探すと、10件の転職先がありましたが、去年は2件しかありませんでした。
都市部は薬剤師が多いため、転職先を探す難易度は高くなります。
2021年現在でも、薬剤師が飽和してきている気配は感じています。
薬剤師の免許があれば一生安泰という時代は終わりました。
その理由を現役薬剤師である筆者が説明します。
この記事を読んでわかること
・現状の薬剤師の状況
・これからの薬剤師の状況
・薬剤師を目指す人がすべきこと
・今現在薬剤師である人がすべきこと
薬剤師の現状


今のところ安定している
今のところは薬剤師は安定しています。
令和2年のコロナ渦の中でも有効求人倍率は2倍でした。
平成25年の10倍と比較すると、大きく下がってはいます。
しかし、令和2年同時期の全体の有効求人倍率が1を切っていたことを考えれば、コロナ渦であっても、他の職種よりは比較的安定しているといえます。
今のところ高収入
今のところ、薬剤師は高収入です。
令和2年の薬剤師の平均年収は約550万円です。(マイナビ薬剤師 最新版!全国の薬剤師
年収ランキングより)
令和2年9月に発表された国税庁の民間給与実態調査によると、日本人の平均年収は 436万円でした。
薬剤師は世間全体の平均年収よりは高いです。
薬剤師が一生安泰ではない理由


調剤の一部は薬剤師でなくてもできるようになった
2019年4月に公表された「調剤業務のあり方」という0402通知と呼ばれる通知で、調剤業務の一部を非薬剤師が行うことが認められました。
この通知により、ヒートの薬をそろえるピッキング業務と、一包化の補助ができるようになりました。
調剤を薬剤師ではない人ができるようになったということは、薬剤師の必要な人数が減る可能性があるということです。
実際に、この通知が出てから、大手の調剤薬局では調剤補助の人数を増やし、薬剤師の配置を減らす動きが加速しているところもあります。
薬剤師は余ると厚生労働省が発表している
厚生労働省は2021年4月26日、「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」で、2045年に薬剤師は最大で12万6000人、少なく見積もっても2万4000人が過剰になる見通しと調査結果を公表しました。
参照⇒薬剤師余り時代の到来は確実に、当然の需給予測も打ち手はいまだ見えず
薬剤師は24年後に少なくても2万4000人が余るそうです。
今現在は、コロナ渦においても2倍の求人倍率のある薬剤師ですが、将来はわかりません。
処方箋40枚ルールが撤廃される日が来るかもしれない
規制改革推進会議医療・介護ワーキンググループが20日に開かれ、意見を述べたファルメディコの狭間研至社長は、調剤の外部委託と処方箋40枚当たり薬剤師1人の規制見直しを要望した。これらの提案に対して厚生労働省は、「処方箋を応需した薬局の責任のもと、医療の安全性が確保されることを前提に前向きに検討したい」と応じた。
【規制改革推進会議WG】処方箋40枚ルール撤廃を-厚労省「安全前提に検討」 http://www.qlifepro.com/news/20210423/prescription.html
処方箋40枚あたりに薬剤師1人というルールが撤廃される日がくるかもしれません。
アメリカでは日本のように薬剤師1人につき、処方箋何枚までというルールはありません。
そのため、膨大な数の処方箋を薬剤師が処理することもあります。
日本のように薬剤師が調剤監査投薬全てを行っていては、業務がまわらないので、アメリカには調剤など薬剤師を補助するテクニシャンという人がいます。
アメリカのテクニシャンほど行える業務はひろくないですが、日本でも非薬剤師が調剤の一部をおこなえるようになりました。
もしかしたら、処方箋40枚ルールだって撤廃になる日が来るかもしれません。
処方箋40枚ルールが撤廃され、薬剤師1人で処理できる処方箋枚数が多くなると、ただでさえ余ると言われている薬剤師の過剰に拍車をかけることは、想像に難くありません。
薬剤師が免許さえあれば一生安泰な時代は終わった


厚生労働省が薬剤師は余ると発表しており、調剤業務の一部が非薬剤師が行えるようになってしまいました。
今までは、薬剤師の免許さえもっていれば、調剤業務が未経験の60才薬剤師でも就職できる時代でした。
しかし、これからは同じようにはいきません。
現に、今調剤未経験の60才の薬剤師が、都市部で就職先を探しても厳しい状況になっています。
これから薬剤師がどんどん過剰になってくると、薬剤師の転職状況はますます厳しくなるかもしれません。
薬剤師は一生安泰じゃない!薬剤師を目指す学生がすべきこと


今学生の人に薬剤師という職業に就きたい!というのではなく、安定して高収入だからという理由で薬剤師を目指すことは基本的にオススメしません。


薬剤師を目指す学生がすべきことは、今から勉強を頑張り、偏差値をアップさせることです。


偏差値が低くても入れる薬学部が増えたとはいえ、偏差値が低い大学は薬剤師国家試験の合格率も低い傾向にあります。
そして、偏差値を上げておけば、薬学部以外の選択肢も増えます。
受験するするときまでにしっかり偏差値を上げておき、受験するときになったら、自分が行ける大学の範囲から、将来本当に薬剤師になりたいのか、もっとちがう職業に就きたいのかを考えてもいいと思います。
本当に薬剤師になりたければ、できるだけ偏差値の高い薬学部を選びましょう。


できれば、国公立の薬学部であれば、臨床の薬剤師として働く以外の研究職にも就きやすくなり、学費が安くコスパがよくなるため、なおよしです。
薬剤師は一生安泰じゃない!薬剤師がすべきこと


キャリアアップ



今の職場で成長できますか?
これからの薬剤師は対人業務が必須です。
対人業務はAIにとってかわることは難しいでしょう。
だってロボットが薬剤師になって、「この人は薬飲めていないんじゃないか?」とか「この人は一包化したほうがいいんじゃないか?」とか判断できると思いますか?
AIが会話の雰囲気から、ウソを見抜き、提案したほうがいいことを判断し、会話を誘導して人にYESと言わせることができるまでには、まだ時間がかかるのではないかと思います。
2015年厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」で「対物から対人」というキーワードが示されました。
調剤技術料は年々引き下げられ、対人業務である、かかりつけ薬剤師や、吸入薬指導加算、調剤後薬剤管理指導加算が登場しました。
このかかりつけ薬剤師や、新設された加算をとる動きが活発ではない薬局に務めていると時代に取り残されてしまいます。
対人業務が活発になりだした今のうちに、対人業務関連の仕事ができる職場で経験を積んでおくことをオススメします。
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勉強しておく
薬剤師は袋詰めの業務ではありません。
対物業務ばかりだった時代は、もしかしたら、薬を袋詰めするだけで仕事ができる職場はあったかもしれません。
事実、一緒に働いた年上の薬剤師が「薬剤師は薬を袋につめるだけの仕事」と言っているのを聞いて、唖然としたことがあります。
厚生労働省が薬剤師は余ると発表した以上、この先薬剤師の免許をもっているだけでは淘汰される時代がくる可能性は高くなりました。
そんなときに生き残れるのは、今までの通常の業務ができる事に加え、知識や経験のある薬剤師です。
知識や経験があれば、かかりつけ薬剤師にも指名されやすくなり、点数が加算されるため、薬局に利益をうむ薬剤師になります。
逆に自己研鑽せず、かかりつけもしない薬剤師であれば、淘汰される可能性は高くなってしまいます。
かかりつけに指名されるためにも、薬の塗り方や、病気の予防の仕方など、どういった薬なのかに加え、実際の使い方や、この病気になったらどう行動すればいいのかなど、+αのアドバイスができれば、指名されやすくなります。
そのためにも、日々の勉強が必要です。
薬剤師は一生安泰ではない


薬剤師は2045年に最大で12万6000人、少なく見積もっても2万4000人が過剰になると厚生労働省が発表しています。
薬剤師が免許さえあれば一生食べれて安泰だったのは、薬剤師が不足していて、超売り手市場だったからです。
数年前までは、都市部でも60才調剤未経験の薬剤師の就職先がありました。
しかし、今は厳しくなっています。
いずれ薬剤師が淘汰される時代はやってくるでしょう。
そのときのために、今薬剤師の人は知識と経験を積んでおいたほうがいいでしょう。
今学生で薬剤師を目指している人は、できるかぎり偏差値をあげておきましょう。