薬学部は理系の学部です。
数学と理科が得意で、勉強ができたし、親が勧めるから薬学部に行こう。と薬学部に入学する学生がたくさんいます。
薬剤師が何をする職業なのか深く考えずに目指す人は多いです。
私も何をする職業なのか深く考えずに薬剤師になってしまいました。
私の場合は、薬剤師は安定していて、給料もいいからと薬剤師が何をしているのか具体的に知らずに目指してしまって後悔しました。
今の薬剤師にはコミュニケーションが求められています。
なので、深く考えずにコミュニケーション苦手な人が薬剤師になると苦労します。
私も苦労していますが、今のところなんとか薬剤師をやっています。
ここでは薬剤師がコミュニケーションが苦手な理由と、それでもやっていく方法について私が気を付けていることについて説明します。
薬剤師がコミュニケーション苦手な人多い理由
①理系だから

薬剤師は理系が多いです。
薬学部が理系の学部なんだから当たりまえですね。
国語が苦手な場合、コミュニケーションを求められても、相手が望む言葉を見つけられません。
理系の学部でありながら、接客を求められる職業になってしまいました。
そこが問題なのではと思いますが、時代の流れには逆らえません。
②意志が強いから

薬剤師は意思が強い人が多いです。
薬剤師国家試験に合格するためには、生半可な決意では立ち向かえません。
意思が強いことは時としてこだわりとして出てしまうことがあります。
自分の言うことが正しいというこだわりとして。
患者さんの「(正解じゃなくても)私はこうしたいんだ!」という強い意思と、薬剤師が「(医学的に)これはこういうものなんだ!」という思いがぶつかってしまうこともあります。
薬剤師は薬剤師の立場で話しており、患者さんは自分の人生に医療を合わせたくて話しています。その両者のすり合わせはとても難しいのです。
薬剤師は薬の知識を総動員し、これが正しいことなのだと強く言ってしまうことがあります。
③薬剤師はマイナーな存在だから

薬剤師って全人口の何パーセントぐらいなんでしょうか?
全人口から考えると、とてもマイナーな存在です。
薬剤師は代々医者などの医療系で家が裕福か、勉強がとてもよくできたか、絶対に薬剤師になると強い意志でなったか、そういう人達だと思います。
全然一般的な人種ではありません。
そんな人間がごくごく一般的な人達とお話しして、その人たちの望みと医療のかけはしにならなければいけないのです。
中には病気により金銭的に困っている人もいたり、何かの依存症で苦しむ人もいたり、代々困窮した状態に陥っていたりする人たちと接しなければいけません。
そんな人たちの気持ちを想像することはできても、わかってあげることは難しいのです。
特に裕福な家庭に産まれている場合、私立の中高一貫高校から薬学部へ進学するため、比較的裕福な家庭の子としか出会いません。そんな人が困窮家庭のことをわかることは難しいのだと思います。
コミュ障が薬剤師になってからの対策

患者さんに対しては否定しないこと、傾聴すること、共感しすぎないことを気を付けています。
否定しない、傾聴するは普通なのですが、共感しすぎないことは現場で身をもって体験したことです。
薬局内のコミュニケーションについては普通の人でも苦労します。
薬局は狭いので人間関係に問題がないところなんてないのではないかと思うほど。
そんなところで生き残ろうと思ったときに武器になるのは雑談力です。
コミュ障が薬剤師になってからの患者対応対策①否定しない

患者さんは病気で不安な気持ちになってきています。
医者は忙しく、気になることを聞けずに不安が倍増して薬局へ来ていることもあります。
人は不安になると攻撃的になる人もいます。
攻撃は困っているということの意思表示でもあります。
困っていることを解決してあげたいという気持ちはもちろんですが、攻撃されないためにも、不安を増長させないことが大切です。
不安な気持ちで言っているときに医療従事者に否定されたら、傷ついてしまいます。
どんなことを言われても、否定しないようにしましょう。
かといって否定しないとまずいこともあります。
それは、主に病院や医師の悪口です。
本当に病院が悪い場合もありますが、その人の誤解のことが多いです。
誤解を解けるものなら解きます。
ですが、怒り狂っていて話を聞いてくれないぐらいになっているときもあります。
そのときは「そうですね。」と同意するのではなく、「そうなんですね。」「あなたはそう思ったんですね。」「今回はそうだったんですね。」とその人がそう思ったこと、その人の時はそうだったこと、という事実を聞いたんだという意思表示をするようにしています。
コミュ障が薬剤師になってからの患者対応対策②傾聴

これはコミュニケーションではよく言われる対応です。
患者さんはただ話を聞いてほしいだけという人がたくさんいます。
薬剤師の意見を求めているのではありません。
肩こりでマッサージに行って、「肩凝ってますね~。これはしんどかったでしょう。」と言われると嬉しくなりませんか?
「この肩こりは10段階でいうところの2段階ぐらいですね。これぐらいであれば、こういうストレッチをすればすぐに治りますよ。」なんて言われたら、「もう二度と来ないわ。」と思いませんか?
患者さんは自分の病気の具合を医療的に評価してほしいわけではないのです。
今の自分の状態と、今の自分がどう思っているのかを聞いてほしいのです
そして、認めてほしいのです。
評価判断するのではなく、ただ聞いてあげましょう。
ただし、傾聴しすぎて、話が長くなりすぎると他の患者さんや、他の同僚に迷惑がかかります。
コミュ障が薬剤師になってからの患者対応対策③共感しすぎない

共感することは大事なのですが、一線を引くことも大事です。
患者さんと接するときは薬剤師として接しています。
指導などとえらそうなことは言いませんが、薬剤師として話しているので、共感しすぎることも危険です。
内容によっては共感してしまうと、薬剤師がいいって言ってたからという免罪符になってしまう可能性があります。
そこの線引きはしっかりしましょう。
薬局内でのコミュニケーション

薬局は狭いのでコミュニケーションは難しいです。
長いこと調剤薬局薬剤師をやっていますが、人間関係に問題のない薬局なんてあるのだろうかと思うほどです。
薬局長以外が、時には薬局長もみんな辞めてしまって壊滅状態になってしまう薬局を何度も見てきました。
そんな場所で苦労しながら長年、調剤薬局薬剤師をやっていて、コミュニケーションに関して重要だと思うことは雑談力です。
薬局内の人間関係はあたりさわりなくが基本です。
個人情報を漏らしすぎてはいけません。
本当に気の合う仲間と働けることもありますが、大抵はそうではありません。
自分がどう思うかは絶対言わないほうがいいです。
かといって、考えすぎて無言になってもいけません。
無言は最悪のコミュニケーションです。
人は自分に関心がないということほど傷つくことはないのです。
そんなときに何を話すべきかというと、THE雑談です。
毒にも薬にもならないことを延々と話し続けるのです。
薬剤師は私も含め、こういう意味のない会話が苦手な人が多いです。
まとめ
薬剤師はコミュ障が多いです。
それは薬学部が理系の学部で、薬剤師になろうとする人は意志が強い人間が多く、マイナーな人種だからです。
私もコミュ障な人間ですが、なんとか薬剤師をやっています。
コミュ障が薬剤師をやっているうえで気を付けていることがあります。
患者さんに対しては否定しない、傾聴する、でも共感しすぎないということを気を付けています。
薬局内では、THE雑談を延々と話すということ。
今回この記事を読んで、学生の方は薬剤師の楽ではない部分を知ってもらって薬剤師になるかどうかを選択し、なった後のこんなはすじゃなかったというミスマッチを防げればいいなと思います。
コミュ障だけど薬剤師になってしまった!という人には私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
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