なりたい職業ランキングや、子供についてほしい職業ランキングでたびたびランキング入りする薬剤師。
薬剤師のイメージといえば、高収入、収入が安定している、不況に強い・・・そんなところでしょうか?
たしかに、安定していて、不況に強い職種ではあります。
だからといって、今から目指すべき職業かどうかは疑問です。
この記事では薬剤師は今から目指すべき職業なのかどうかについて、現役薬剤師の管理人が解説していきます。
薬剤師って実際どうなの?
薬剤師は高収入で安定した職業だとか、お金持ちしかなれないの?馬鹿でもなれるんでしょ?といったイメージや噂がありますが実際どうなんでしょうか。
薬剤師をしている管理人がひとつひとつ答えます。
薬剤師は高収入?

薬剤師は高収入なのでしょうか?
特別高収入という訳ではありません。
薬学部を卒業し、薬剤師の国家資格を持った人の多くは調剤薬局もしくはドラッグストアに就職することが多いです。
調剤薬局もドラッグストアも、たしかに、初任給は高いです。
ただ、大企業のように昇給によって給料が格段に上がることはありません。
そして、薬剤師は転職が多く、はじめに就職した大手の調剤薬局、ドラッグストアでずっと務める人は少ないです。
その後大きな企業に転職する人もいますが、中小企業に転職することが多いです。
そうなるとますます給料の上がり幅は頭打ちになります。
薬剤師は安定している?

安定はしています。
コロナ渦の中でも有効求人倍率は下がったとはいえ、令和2年9月時点で国内の全職種の平均が0.9倍の中、薬剤師の有効求人倍率は2.01倍です。
たしかに薬剤師は不況に強い職業といえますね。
ただ、薬剤師の有効求人倍率は年々下がり続けています。
薬剤師は金持ちしかなれない?

これは半分本当です。
しかなれないということはありませんが、私立の薬学部は学費がとっても高額です。
私立の薬学部の学費は年間約200万円ほどかかります。
六年制なので、6年間で卒業できれば1200万円かかります。
家がお金持ちでなければ奨学金を借りて行くことになりますが、全てを奨学金で賄おうと思ったら、年間200万円を12ヶ月で割れば16.6万円なので第一種奨学金と第二種奨学金を併用することになります。
これだけ借りても薬剤師になったら借りた奨学金を返せなくて破産するという人はかなり少ないと思います。
家が金持ちでなくても、公立の薬学部に入学したり、奨学金を借りれば、薬剤師にはなれます。
薬剤師は出身大学で差別されるのか?

病院や調剤薬局、ドラッグストアでは出身大学によって差別されることはありません。
出身大学によって薬剤師になってからの能力に大きな差があることもありません。
企業に入りたい場合は歴史の浅い薬学部だと、OBやOGがいなくて多少不利はあるかもしれません。
だからといって偏差値の低い薬学部に入ると、国家試験の際に苦労することもあります。
薬剤師って馬鹿でもなれるの?
薬学部は偏差値が低くても入れる学校はあります。
そういう学校は学費がとっても高いところもあったり、入学できても国家試験の受験の際に苦労します。
大学の出す国家試験合格率が高く出ていても、受からない学生を卒業試験で落として受験者数を減らし合格率を上げる大学もあるので、合格率を見るときは要注意です。
薬剤師ってモテるの?

薬剤師は婚活市場においてモテるんでしょうか?
男性薬剤師はモテます。
学費のことを考えると給料は見合ってるのかなと考えてしまいますが、今のところは平均年収543万円で安定している職業です。
20代男性全体の平均年収が403万円で、薬剤師の場合は496万円です。
30代だと男性全体の平均年収は484万円で、薬剤師の場合は30代前半で584万円。
平均年収で中央値ではないのですが、全体よりは薬剤師の方が年収は高いですね。
高収入で安定しているというイメージがあるため、男性薬剤師は婚活市場においてはもてるようです。
女性薬剤師の場合は、収入があることを魅力に感じてくれる男性にはモテるのかもしれませんが、女性の割には高収入ということもあって、自分より稼ぐ男性を見つけたいと思って婚活をするとなかなか厳しいものがあります。
薬剤師は昇給は頭打ちになりますが、20代のうちは収入は他の職業より高めなのです。
20代で自分より稼ぐ人を見つけることは困難です。
薬剤師って大変?

ズバリ、大変です。
大変だーーーーって言いたいところですが、他の職業を経験していないので、仕事はみんな大変なのかもしれません。
人の命に関わる薬を扱う仕事なのでプレッシャーがあります。
大変だとは思いますが、ブラック企業に務めてしまったときに、現段階では一般の職よりはさっぱり辞めやすいのでその点は薬剤師の資格を持っていてよかったと思います。
薬剤師って頭おかしい?

薬剤師は頭おかしいということはないと思いますが、一般的な考え方とは少しかけ離れているかもしれません。
今は大学が乱立されて、偏差値が高くない大学も出てきましたが、10年ほど前までは一部の薬学部を除き偏差値の高い大学ばかりでした。
そんな大学に入る人達なので、幼少期から勉強ができて大学に入った人ばかりです。
勉強ができる人が変だという気はありませんが、日本人全体から考えると、薬剤師ばかりで集まっていると価値観や考え方は偏ってくるのかもしれません。
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薬剤師は今からならないほうがいい理由

では、なぜ薬剤師はいまから目指すべきなのかどうか、現役薬剤師の私が疑問に思うのでしょうか?
それは
①医療は斜陽産業
②私立薬学部の学費に対して、収入がいまいち
③薬学部の乱立により、薬剤師は増えすぎている
④6年間大学行ったけど、その価値はわからない
⑤20歳前後の貴重な時期の6年間を勉強に捧げなくてはいけない
この5点があるからです。

①医療は斜陽産業

医者は斜陽産業だと高須克也氏はつぶやいています。
日本は少子高齢化の国です。
これからどんどん人口が減っていく可能性が高いのです。
医療はどんなに高尚なことを言っていたって、治療する人がいなければ成り立ちません。
人が減れば医療の需要も下がるのです。
薬剤師の需要だって下がります。
②私立薬学部の学費に対して、収入がいまいち

公立大学の薬学部に入学できれば別ですが、私立の薬学部はとっても学費が高いです。
年間約200万円ほどかかります。
それが六年制なので、6年間で卒業できれば1200万円かかります。
6年間で卒業できればというのは、6年間で卒業できない人も多いのでこういう限定的な言い方をしました。
留年する人はとても多く、留年すればその分追加で1年間200万円かかってきます。
1年留年しただけで、1400万円。2年留年すれば1600万円。
すごい金額ですね。
そして薬剤師の2018年の平均年収は543万円。
この543万円というのは額面で、手元に残るお金ではありません。
543万円で手元にのこるお金は、控除額等にもよりますが、だいたい416万円です。
416万円のうちボーナスが4か月分で2回だとしたら、月々26万円もらえます。ボーナスは1回分が52万円。
けっこうもらえるじゃんと思いましたか?
これ、平均であって初任給じゃありません。
それと、6年間も大学にいって、奨学金で全て賄ったとしたら1200万円の借金を背負って、手元に入ってくる収入は月26万円です。
1200万円を20年間で返済するとして、利子なしで考えても月5万円返さないといけません。
月5万円を引いたら、手元にのこる金額は21万円です。
先ほども言いましたが、これは初任給の額ではありません。
初任給になると収入はもっと少ないので、手元に残る額はもっと少なくなります。
ここまで見て、20歳前後の貴重な6年間を捧げる価値があると思いますか?
③薬学部の乱立により、薬剤師は増えすぎている

以前から薬剤師は過剰になるといわれていました。
2,3年前は「またまた、そんなこと言って~。看護師だってそんなこと言われてるけど、ずっと人手不足だよ。」と思っていました。
しかし、コロナのせいもありますが、去年ぐらいから現実味を帯びてきました。
都市部では薬剤師は過剰になってきています。
こうなると今後も安定した職であり続けるかどうかも自信を持って言えなくなってきました。

④6年間大学行ったけど、その価値はわからない

正直、6年も学校行くほどの価値があったのかわかりません。
同じ6年制の医学部とは雲泥の差です。
学力も責任も違うので当たり前ですが、やっぱり医師の下で働いている感は否めません。
最近はそんなことない医師も多いのですが、アンサングシンデレラのドラマでもあったように、疑義照会(処方の間違いであったり、疑問に思うことなどを医師に問い合わせする行為)する際には医師の機嫌を損ねないようにとっても気を遣います。
病院に就職すれば専門性はありますが、給料は安くなります。
薬局の薬剤師は袋詰めと揶揄されることもあるほど、薬剤師の役割の知名度は低いと感じます。

⑤20歳前後の貴重な時期の6年間を勉強に捧げなくてはいけない

薬学部に入ると20歳前後の貴重な6年間を勉強に捧げなくてはいけません。
私の経験にはなりますが、大学に入ると一年生のうちから実験に授業に忙しい。
授業はぎっしり、試験は本気。
そんな中でも器用な人はバイトに部活に恋愛にと青春を謳歌できるのかもしれません。
私は勉強についていくことで精一杯でした。
朝から大学へ行って、18時まで授業や実験があって、そのあとに勉強もしないといけない(これは学年にもよりますが)ので、バイトの時間をやりくりするのも大変。
当時は週4でバイトできる他の学生をいいなと思っていました。
お金もないので、薬剤師になったらあれもして、これもして、こんなものも我慢せずポンと買って、バラ色の人生を送ってやるんだ!と夢を膨らませていました。
まあ、薬剤師に実際なってみると人生しょっぱかったです。
薬剤師に今からでもなったほうがいい人

ここまで薬剤師に今からならないほうがいいと説明しましたが、こんな人は薬剤師になる価値はあるなと思う場合もあります。
それはこんな人です。
①全国自由に飛び回りたい
②1つの会社にしばられたくない
③家がお金持ちで学力がそこまで高くない
①全国自由に飛び回りたい

薬剤師は全国どこに行っても職はあります。
都市部では過剰になってきていますが、薬剤師が不足している地域はまだまだあります。
いろんなところへ住んでみたい。
自由に日本全国飛び回りたい。
そんな夢がある方であれば薬剤師はいい職業ではないでしょうか。
②1つの会社にしばられたくない

薬剤師は昇給による給料UPはあまりのぞめない職業です。
なので、大企業で勤め上げる人とは生涯年収で差が出てきます。
同じ会社でずっと務めたくはないという方にとっては、転職しやすい薬剤師という職業はいいのかもしれません。
薬剤師が過剰になってきているので、以前ほど転職を繰り返しにくくはなっていますが、今のところは転職に困ることはありません。
③家がお金持ちで、学力がそこまで高くない

偏差値が50台で、親が学費を出してくれる場合は薬剤師になることはいい選択だと思います。
リターンを考えなくてよくて、将来稼がないといけないというプレッシャーを持たなくてよいなら薬剤師はいい職業です。
最後に
薬剤師は私立の薬学部に入ってなる場合はかけた金額に対してリターンが少ないです。
公立の薬学部ならどう?と思われそうですが、公立の薬学部にいけるほどの学力があるなら、薬学部にどうしても入りたい!という場合を除いて、薬剤師になるより他にもっといい職業ありそうだなと思います。
安定しているところが取り柄でしたが、それもこれからはわかりません。
薬剤師は高い給料で安定した職業と思って目指すのはやめたほうがいいでしょう。
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